太陽光や風力などとともに、クリーンなエネルギーとして期待を集めるのが地中熱です。今回のコラムでは、その基本的な知識やメリット、利用するシステムについて見ていきます。
目次
地中熱とは?
夏冷たく、冬暖かい地中
深さ9メートルほどの地中の温度は、1年間を通してほぼ一定です。その地域の年平均気温とほぼ同じで、四国九州南部で20℃、北海道で10℃、そのほかの多くの地域で17℃前後です。井戸水が夏には冷たく、冬には暖かく感じるのはこのためです。
気温との温度差を冷暖房に利用
日本は四季がはっきりしており、夏と冬の気温差は大きなものがあります。このため、地上と地中では10℃から15℃もの温度差が生まれます。地中熱の利用は、この温度差に着目。さまざまなシステムによって、効率的に熱エネルギーとして活用されています。
さまざまな地中熱利用システム
大地と熱交換を行い、夏に涼しさを、冬に暖かさを得る方法にはいくつかの種類があります。利用する目的や場所に合わせてシステムが選択されます。
ヒートポンプシステム
地表のヒートポンプを熱源として利用するシステムです。
【クローズドループ】は、不凍液や水を地中熱交換器内に循環させ、地上に運ばれた地中の熱をヒートポンプで熱交換します。住宅・建築物・プール・融雪などで広く利用されています。
【オープンループ】は、汲み上げた地下水の熱をヒートポンプで熱交換するシステムです。比較的規模の大きな施設で利用されています。
空気循環
空気を地下のパイプ等に通して地中と熱交換するシステムです。住宅や建築物の換気システムとして利用され、夏は冷風を、冬は温風を得ることができます。
その他
住宅などで使われる、土間床などを介して地中熱を取り込む【熱伝導】。
主に道路等の融雪に用いられる【水循環】【ヒートパイプ】。
以上のように、地中熱の利用には用途・場所に合わせた方法があり、組み合わせて使われることもあります。
地中熱利用のメリット・デメリット
他の自然エネルギーにはない特長を持つ地中熱。その利用と活用は様々なベネフィットを生活や社会にもたらします。
メリット
場所を選ばない
地中熱は、ほぼ日本中どこでも利用することができます。あなたが住む場所、働く場所の地下がエネルギー源です。
天候に左右されない
太陽光や風力と異なり、24時間常時利用可能な地中熱。無尽蔵で無償という点も大きなメリットです。
節電・省エネで冷暖房費を削減
地中と外気温との温度差を使った地中熱利用は、大きな節電効果により空調にかかる経費の削減をもたらします。
化石燃料の供給が不安定な昨今の情勢を考えても、その重要性はますます増してきています。
CO2削減・ヒートアイランド現象抑制に貢献
地中熱利用の省エネ・節電効果は、そのままCO2の削減に直結します。さらに、夏季においては排熱を地中に吸収させることで、ヒートアイランド現象の抑制に貢献します。
デメリット
工場や生産現場など比較的大きな規模での地中熱利用システムでは、導入コストが問題になることがあります。しかし、公的な補助事業もあり、今後ますます利用普及に向けた広がりが期待されています。
まとめ
CO2削減による地球温暖化防止、省エネ・節電効果による経費削減など、地中熱利用がもたらすメリットの数々をご紹介しました。「地中熱利用の新しい換気システム『ジオパワーシステム』。そのメリット・デメリット」では、地中熱を用いた労働環境の改善について記載していますので、気になった方はご確認ください。
株式会社新出光では地中熱を利用したジオパワーシステムを提供しています。
地中熱についてより詳しいことをお知りになりたい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。