「地熱」と「地中熱」は、ともに地球がもたらす再生可能な自然エネルギーです。
しかし、名称が似ていることもあり、両者の違いをきちんと理解している人が多いとはいえません。
今回のコラムではそれぞれのエネルギーの解説と、私たちの生活により身近な地中熱の活用法、そして注目の地中熱利用換気システム<ジオパワー>について見ていきます。
「地熱」の概要と利用法
「地熱」は地球深部にある高温のマグマに由来する熱です。
「地熱」という言葉から発電を思い浮かべる方も多いと思います。
これに対し、「地中熱」は比較的浅いところにある低温の熱のことをいいます(次の項目で詳しく解説します)。
実際に地熱の活用方法として最も多いのが、地中深くから蒸気を取り出しタービンを回すことで電気を得る地熱発電です。
また、高温の温泉熱を活用して行う「バイナリー発電」では、発電だけでなく、浴用や暖房、園芸など幅広い活用が期待されています。
このように、地熱はCO2を排出しない、輸入に頼らない純国産エネルギーである、半永久的に利用可能など多くのメリットをもっています。
しかし、残念ながら地熱を利用できる場所は限定的で、日本中どこでも活用可能というわけではありません。
「地中熱」の概要と利用法
「地中熱」は地下9m前後から200mほどの地中にある熱です。
この地中熱の特徴は、季節に関わりなく常に温度が17°C前後で一定している点です。
つまり、夏季は外気温度より地中温度が低く、冬季は外気温度より地中温度が高いということになります。
この「冬は温かく、夏は冷たい」という特徴を利用して、地中熱は住宅、工場、大型商業施設、公共施設、農業ハウスなどの空調・冷暖房に幅広く活用されています。
また、寒冷地においては、冬場に道路などの融雪に利用している地域があります。
地中熱は地熱と同じく環境に優しい自然エネルギーですが、活用にあたっての大きな違いは日本全国どこでも利用できるという点です。
地熱は火山の近くなど特定の条件が必要です。
しかし、地中熱は地域により多少の温度差があるとはいえ、場所を選ぶことなく活用することができます。
その意味で、より身近な再生可能エネルギーといえるでしょう。
「地中熱」がもたらす環境に優しいメリット
「地中熱」を利用した冷暖房や空調は、持続可能な環境の維持に欠かすことのできない大きなメリットをもたらします。
省エネルギー
夏は冷熱として、冬は温熱として活用される地中熱。
空気を熱源とするよりも効率的な冷暖房を行うことが可能となり、エネルギー消費を大きく抑制できます。
CO2削減
地中熱利用がもたらす省エネルギーと節電効果の高い冷暖房は、温室効果ガスであるCO2の排出削減につながります。
ヒートアイランド現象の緩和
夏季に都市の中心部の気温が周縁部より高くなるヒートアイランド現象。
地中熱を利用した空調では、地中で熱交換を行い、排熱を大気中に排出しないため、ヒートアイランド現象の抑制に貢献します。
「地中熱」利用の先進システム<ジオパワー>
夏には涼しさを冬には暖かさをもたらす地中熱を利用したシステムにはさまざまなものがあり、使われる目的や規模などにより取捨選択されます。
そのなかで産業分野でも近年注目を集めているのが<ジオパワー>です。
地中に埋設したGEOパイプを通して熱交換を行うことで、夏冬を問わず効率的に快適な屋内空間を実現する先進の空調システムです。
この<ジオパワー>が注目を集めるポイントのひとつに、「健康的な労働環境の創出」があります。
空気中の塵・埃・花粉・PM2.5などはハイプの底で水に吸着され、クリーンな空気に生まれ変わって屋内に送られます。
まとめ
「地熱」と「地中熱」の違い、そして地中熱の活用がもたらす環境へのメリット、さらに産業分野で注目されている<ジオパワー>システムの概要をご紹介しました。
地中熱については「注目の再生可能エネルギー『地中熱』とは?しくみとメリットを解説」、<ジオパワー>システムについては「地中熱利用の新しい換気システム『ジオパワーシステム』。そのメリット・デメリット」で詳しく解説しておりますので、気になった方はご確認ください。
株式会社新出光では地中熱を利用したジオパワーシステムを提供しています。
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