前回は「どうしてカーボンニュートラルが必要なの?」というテーマの前編ということで、そもそもカーボンニュートラルとは?というところから、なぜ必要なのかという点についてお話ししました。(前回:どうしてカーボンニュートラルが必要なの?~前編~)
今回は、「カーボンニュートラル」を実現するための具体的な取組としてどのようなことが必要なのかについてお話ししていきます。
1.省エネ・エネルギー効率の向上
CO2排出量を削減するためには、まずはエネルギー消費量を減らすことが重要です。節電などの省エネ、エネルギー効率の高い新製品にすることで確実にエネルギー消費量を減らせます。
2.再生可能エネルギーへのシフト・拡大
現状メインである石炭・火力発電から太陽光、風力、水力、地熱などを利用した再生可能エネルギーによる発電へと転換していきます。再エネ以外にもCO2を出さずに製造した水素やアンモニアを燃やす火力発電、原子力発電の利用も選択肢として議論されています。
3.非電力部門の電化
非電力分野では、高エネルギーが必要で脱炭素化が技術的に困難であったり、コスト高になったりする場合もあり、電力部門と比較すると、比較的CO2排出量を減らすことが難しいと言われています。そのため、電力をエネルギーとして利用すること(電化)で、CO2排出量を少なくします。
4.クリーン燃料へのシフト
航空機や高熱を利用する産業部門など、技術的に電化が難しい分野では、植物を原料とするバイオマス燃料や水素燃料、合成燃料(e-fuel)といったクリーンな燃料へ切り替えます。
5.ネガティブエミッション
省エネやCO2排出量の低減、電化の取り組みをしたうえで、どうしても脱炭素化できない部門や、CO2削減に非常に大きなコストがかかってしまう部分もあります。前編でご説明した通り、どうしても排出してしまうCO2はその分回収することがカーボンニュートラルです。植林を進めて光合成に使われる大気中のCO2の吸収量を増やしたり、CO2を回収・貯留する「CCUS」といった「ネガティブエミッション技術」を用いたりすることによって、大気中のCO2を減少させることができます。
今回は「カーボンニュートラル」実現のための具体的な取組について解説しました。次回は後編ということで、部門ごと(電力、産業、運輸、民生)の取組について、そして世界各国の削減目標や政策などについて解説していきます。 また、今回解説の中で登場した「e-fuel」や「CCUS」などのそれぞれのワードについても今後解説していきます。ぜひお楽しみにお待ちください。 今回のコラムに関してのご意見や掲載してほしい話題などございましたら、お問い合わせフォームよりお知らせください。 お待ちしております!
今回は、「カーボンニュートラル」を実現するための具体的な取組としてどのようなことが必要なのかについてお話ししていきます。
■「カーボンニュートラル」実現のための具体的な取組
「カーボンニュートラル」実現のための具体的な取組を理解するうえで以下のイメージ図は非常に分かりやすいと思います。
電力・非電力部門のどちらにおいても、横軸のエネルギー消費量及び横軸のCO2排出量を抑えていき、どうしても残ってしまうCO2に関しては回収・貯留していきましょうということが表されています。
それでは実際の具体的な取組についてみていきましょう。
(出典)経済産業省資源エネルギー庁 グリーンイノベーション戦略推進会議
1.省エネ・エネルギー効率の向上
CO2排出量を削減するためには、まずはエネルギー消費量を減らすことが重要です。節電などの省エネ、エネルギー効率の高い新製品にすることで確実にエネルギー消費量を減らせます。
2.再生可能エネルギーへのシフト・拡大
現状メインである石炭・火力発電から太陽光、風力、水力、地熱などを利用した再生可能エネルギーによる発電へと転換していきます。再エネ以外にもCO2を出さずに製造した水素やアンモニアを燃やす火力発電、原子力発電の利用も選択肢として議論されています。
3.非電力部門の電化
非電力分野では、高エネルギーが必要で脱炭素化が技術的に困難であったり、コスト高になったりする場合もあり、電力部門と比較すると、比較的CO2排出量を減らすことが難しいと言われています。そのため、電力をエネルギーとして利用すること(電化)で、CO2排出量を少なくします。
4.クリーン燃料へのシフト
航空機や高熱を利用する産業部門など、技術的に電化が難しい分野では、植物を原料とするバイオマス燃料や水素燃料、合成燃料(e-fuel)といったクリーンな燃料へ切り替えます。
5.ネガティブエミッション
省エネやCO2排出量の低減、電化の取り組みをしたうえで、どうしても脱炭素化できない部門や、CO2削減に非常に大きなコストがかかってしまう部分もあります。前編でご説明した通り、どうしても排出してしまうCO2はその分回収することがカーボンニュートラルです。植林を進めて光合成に使われる大気中のCO2の吸収量を増やしたり、CO2を回収・貯留する「CCUS」といった「ネガティブエミッション技術」を用いたりすることによって、大気中のCO2を減少させることができます。
今回は「カーボンニュートラル」実現のための具体的な取組について解説しました。次回は後編ということで、部門ごと(電力、産業、運輸、民生)の取組について、そして世界各国の削減目標や政策などについて解説していきます。 また、今回解説の中で登場した「e-fuel」や「CCUS」などのそれぞれのワードについても今後解説していきます。ぜひお楽しみにお待ちください。 今回のコラムに関してのご意見や掲載してほしい話題などございましたら、お問い合わせフォームよりお知らせください。 お待ちしております!
文:エネルギー事業部 営業戦略課 髙野龍太郎