環境に配慮したエネルギー選択:バイオディーゼル燃料の動向と新出光の取り組み


環境対応が求められる現在、使用するエネルギーの持続可能性についても注目が集まっています。

今回は、軽油の代替燃料として関心が高まっているバイオディーゼル燃料の動向や、新出光での取り組みについてご紹介します。



1.バイオディーゼル燃料について


バイオディーゼル燃料の種類

軽油の代替燃料として注目されるバイオディーゼル燃料ですが、おもに「B100」「HVO(RD)」に分類されます。軽油との混合による使用も多く、混合比率によって名称が異なります。

その中でもB5軽油(バイオ燃料5%以下混合)」が取り扱いの容易さから導入が進んでいます。


燃 料原 料CO2削減率コスト面備 考
B100
(FAME)
廃食用油▲100%バイオディーゼル100%
B5軽油廃食用油▲5%バイオディーゼル5%(FAME)
+軽油95%
HVO
(RD)
油脂類▲100%×次世代バイオ燃料


バイオディーゼル燃料の導入対象先

軽油の代替燃料ということで、下記のように軽油を使用するトラックや建設機械への導入が進んでいます。



2.各燃料の特徴


B100(FAME)

原料となる廃食油にメタノールとアルカリ触媒を加え、加熱し、メチルエステル化することでFAME(Fatty Acid Methyl Ester:脂肪酸メチルエステル)を得ます。その後、副次的に生成されたグリセリンを分離除去し、バイオディーゼル燃料B100(FAME)が完成します。


メリット

・CO2排出量の削減効果
 ➤軽油使用と比較して1Lあたり2,620gのCO2削減効果がある。

・黒煙(PM)発生量の削減
 ➤黒煙(PM)の発生量を1/3~1/6程度にまで削減する。

・硫黄酸化物(SOx)の削減
 ➤硫黄酸化物をほぼゼロに削減する。

・廃棄物となるものの再資源化
 ➤廃食油の再資源化及び資源の国内循環が促進され、「サーキュラーエコノミー」の実現に寄与する。


デメリット

・軽油と比較して価格が高い
 ➤廃食油からバイオディーゼルへの製造工程、原料となる廃食油が国外ニーズ等の要因から上昇を続けており、価格上昇に
  つながっている。

・ゴム製品膨潤の恐れ
 ➤バイオディーゼル燃料の主成分である脂肪酸メチルエステルは、燃料タンクや配管系のキャップ、パッキン、ホース等の
  ゴム製品に浸透しやすく、これらの部品を膨潤させる。

・エンジンの始動性や回転数の不安定さ
 ➤低温時には燃料流動性が低下するため、燃料噴射ノズルに固形物が付着しやすくなる。

・一部使用できない車両・機械がある
 ➤B100は、トラック等の軽油車両に使用すると故障・不具合発生の可能性が高くなる。ストップ&ゴーの多い車両が特に
  当てはまり、反対に高速走行の多い車両は不具合が少ないと言われている。


B5軽油

B5軽油は、通常の軽油に5%以下のB100(FAME)を混合した燃料です。
B5軽油は「揮発油等の品質の確保等に関する法律(品確法)」で定められた軽油の強制規格を満たしているため、通常の軽油と同様に安全に使用できます。

バイオディーゼル「B5」と「B100」の違い


HVO(RD)

HVO(水素化処理植物油、Renewable Diesel: RD)は、植物油や廃食油を水素で処理して作られる次世代型バイオ燃料です。

軽油と比べてCO2排出量を大幅に削減でき、軽油と混合したり、単独で軽油の代わりに使ったりすることが可能です。また、パラフィン系炭化水素のため、従来の軽油と構造が同じで、安定した品質、優れた低温流動性、芳香族化合物を含まないなどの特徴があります。

バイオディーゼル「HVO(RD)」と「B100」の違い


3.新出光の取り組み

B5軽油の販売

2024年8月、弊社グループ会社である株式会社イデックスリテール熊本にて、B5軽油専用タンク(18KL)を在庫し、熊本県内において自社ローリーでの配送サービスを開始しました。土木・建設現場にて使用する建設機械や発電機に主に使われております。

また、熊本以外の九州地区、本州においてもバイオディーゼル燃料供給元と協業し、供給体制の整備を進めております。

廃食用油の回収

販売・配送を手掛けるイデックスリテール熊本ですが、バイオディーゼル燃料の原料である家庭から出る廃食用油(使用済みの天ぷら油)の店舗回収にも取り組んでいます。燃料として再利用し、循環型社会の実現に寄与しております。

※ラードなどの動物油・エンジオイルなどの鉱物油は回収できません

回収店舗の詳細はこちら

新出光の「バイオディーゼル燃料」資料はこちらから

B100(FAME)及びHVO(RD)の販売

B100、HVO(RD)の販売については、需要地によって供給体制の整備を進めておりますので、導入のご検討の際はご相談ください。

4.まとめ


バイオディーゼル燃料は既存の軽油と同じく液体燃料であるため、大きな設備投資を必要としないことがメリットとして挙げられます。軽油との価格差はありますが、脱炭素、低炭素のための取組のひとつとして有力な候補になると考えております。

バイオディーゼル燃料の導入検討の際には、新出光 産業エネルギー課へぜひお気軽にお問い合わせください。


文:エネルギー事業部 営業戦略課


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